AKASAKA Motion Heritage
- 2026
- Creative Studio
- Interactive Content
《AKASAKA Motion Heritage》は、そのアーカイブデータから、あえて写実的な身体情報を取り除き、所作そのものにフォーカスすることで、個人の身体性を超えて立ち上がる「普遍的な赤坂文化の美」を可視化する試みです。
長い歴史と社交文化を持つ赤坂を体現してきた赤坂育子氏。その所作は、赤坂芸者の最高峰として磨き上げられた、赤坂文化そのものです。
本作では、赤坂育子氏が60年にわたり積み上げ洗練させてきた「所作」を、最先端の3D計測技術であるヴォリュメトリックキャプチャーによって収録し、デジタルアーカイブ化を行いました。
ボリュメトリックキャプチャデータをもとに、赤坂氏のモーションを「速度」「方向」「重心の移ろい」といったパラメータへ分解し、3D空間上のグラフィックスとして再構築しています。抽出された動きは、「点と点を結ぶ」「軌跡を追う」「重なりを蓄積する」といった可視化手法によって展開され、単に動きを“見る”のではなく、その構造やリズムを“感じ取る”体験へと変換されます。
さらに本作では、赤坂駅から続く通路を行き交う人々のモーションデータをリアルタイムに取得し、作品空間へと取り込みます。現代の人々の歩みは、赤坂育子氏の所作に呼応するように画面上で重なり合い、伝統のリズムに導かれながら新たな動きの層を形成します。
伝統文化の象徴である所作と、日常を生きる人々の身体が交差するその瞬間に、赤坂に息づいてきた歴史と現在は分断されたものではなく、地続きの時間であることが可視化されます。
赤坂育子氏の「所作」を起点に、歴史と現在をつなぎ、この町の文化を未来へと継承する作品です。
Key Points
Pre-processing Data / データの事前処理
アーカイブされた所作の再構成と、通りを行き交う人々のリアルタイムなトラッキング。これらをデジタル空間上で交差させるアプローチによって、本作の視覚表現の成立を目指しました。
アーカイブされた3Dデータは、フレームごとに頂点構造が入れ替わるメッシュの集合体ですが、ここから身体が描く連続した動きの軌跡として表現可能にするための事前処理を施しています。
この工程では、Houdiniを用いて元の動きを一貫性のあるメッシュ構造へと適合させ、時間の経過に対して一貫した構造を持つデータへの再構築を行いました。
このプロセスを経ることで、生データのままでは取得が困難な「身体の各部位が持つ速度や方向」を、動きの連続的なパラメータとして抽出することが可能となりました。
また、これらの膨大なアーカイブデータは、TouchDesignerに実装されたPOPs(Point Operators)での制御を採用しました。
GPU上で大量のポイントを効率的に扱うこの機能を導入することで、シンプルな実装と高いパフォーマンスを維持しながら、抽出された繊細な挙動の表現を実現しています。
インタラクティブなカメラの動き
サイネージ前を行き交う人々の姿は、スマートフォンのカメラからNDI経由で伝送され、リアルタイムなBody
Tracking処理によって抽象的なモーションデータへと置き換えるシステムを構築しました。
このリアルタイムな動きを、アーカイブデータから生成されるパラメータに基づき動的に変容させることで、赤坂育子氏の所作の流れに引き込まれるような変化を目指しました。
通行人から抽出された動きが、アーカイブデータのリズムに沿ってその軌跡を書き換えられていく動的なプロセスを、リアルタイムなシミュレーションとして実装しました。
赤坂駅から続く通路という性質上、通行人が多いタイミングと少ないタイミングが繰り返されます。
通行人が多いときはズームアウトし、リアルタイムに取得した人々の動きと赤坂育子氏の所作が画面上で交差する様を映し出すよう設計しました。
一方で、通行人が少ないときには、赤坂育子氏のモーションデータへとズームインすることで、洗練された所作そのものにフォーカスしています。
このように人流の増減に応じて作品空間上のカメラワークを変化させることで、赤坂という街のリズムを作品のリズムとして表現することを試みました。
credit
Client
- 株式会社TBSホールディングス
Creative Production
- Whatever Co.
ALL PROJECT
- Producer Makoto Fukuchi(Whatever Co.)
- Creative Director Shuhei Matsuyama
- System Director Koki Kaminoura
- CG Designer Suiho Matsumoto
- Programmer Takamitsu Masumi
- Programmer Kyo Imai
- Designer Kana Nijima
