Floating Scape

「Shuhei Matsuyama」による、8K高精細モニターを用いたジェネレーティブアート作品。


文化の形成には「歴史」と「土地」の影響が大きく関わっています。西洋と東洋の文化の違いもまた、その背景の違いによって生まれました。しかし、文化は固定的なものではなく、時代とともに変化し続けます。私たちは無意識のうちに自国の文化の「らしさ」を感じ取る感覚を持っており、それは不変の要素と変化する要素が絡み合いながら、現代の文化的アイデンティティを形作っています。

本作『Floating Scape』は、日本文化の根底に潜む精神性を、デジタル技術を用いて捉えようとする試みです。枯山水の表現技法を応用しながら、デジタル空間における新たな造園を通して、「現代的な日本観」の一端を表層化させることを目的としています。

枯山水は、水を使わずに砂と石を用いて自然の風景を象徴的に表現する庭園様式であり、禅の思想と深く結びついています。室町時代に確立されたこの様式では、砂紋が水の流れを、石が山や滝を象り、時には借景が加わることで、そぎ落とされた空間の中に無限の広がりを生み出します。その根底には、日本独自の美意識である「縮景」「見立て」「借景」といった技法が息づいています。

本作では、世界各地の3Dスキャンデータや衛星情報を活用し、デジタル空間において庭園を構築するスタディーを繰り返し行いました。デジタルテクノロジーの特性を活かすことで、物理的な制約を超えた造園が可能となります。例えば、スケールの操作による視点の変容、時間軸を超えた異なる時代の地形の融合、あるいは動的な変化など。従来の庭園にはない表現が生まれます。配置されるオブジェクトは、その地理的な背景だけでなく、作られた時代も多様であり、まさに「時間」と「空間」の制約のない「枯山水」を構築します。

「枯山水」という日本文化の根底にある価値観を含んだ様式を「現代的なデジタル手法」を用いて構築することで、そこに「現代的な日本観」を感じ取ることができるのか? 本作を通じて、観る者自身の感覚と向き合いながら、その問いを探求していただければと思います。


Floating Scape

Shuhei Matsuyama
2025
Installation
Duration: Generative


Exhibition

2025 AKARI, InSpace, Mexico City

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